チェルシー、ナポリから学ぶディフェンスラインの釣り出し方
プレミアリーグが開幕していこう8試合でわずか3失点と強固な守備陣を擁しているリヴァプール。
リヴァプールの強固な守備陣は簡単にはラインを崩さず、特にファン•ダイクなどは簡単には振り切ることができない。
今回はリヴァプールとチェルシー、ナポリの一戦から両チームがディフェンスラインをどのように釣り出し、リヴァプールの守備陣を崩していったのか見ていこうと思う。
フリック
アザールはサイドに開き、リヴァプールのアーノルドと勝負をすればおそらく簡単に勝つことができるだろう。しかし、リヴァプールはアザールに対し、決して一人では対応せず、サラーがプレスバックをしたり、ミルナーやワイナルディムが守備に参加したりして、アザールの前のスペースを消していた。
これではさすがのアザールも得意のドリブルを披露することができず(それでも十分に脅威であったが)得点にはうまく結びつけられないでいた。
そこで、ここの得点シーンにも見られたようなフリックである。
アザールに対してはディフェンスラインの誰かしらが付いてきていた。ここでアザールが賢いのはあえて内側に絞ることによりサイドのスペースを空けるような動きをしていたことである。
これは確かに、マルコス•アロンソの前のスペースを空けるような動きにも見えるが、本当の狙いはディフェンスラインを自分に引きつけることだったように見える。
アザールは自分にディフェンスラインを引きつけボールを受けにいき、ドリブルではなく、フリックして簡単にワンタッチでボールをさばくことにより、自らのドリブルのスペースを作り上げていたのである。
このプレーはウィリアンもすることもあるが、サイドアタッカーの選手が内側に絞るのが単にサイドバックの前のスペースを空けるだけではなく、デェフェンスラインを引きつけるという目的もあることがよく分かる。
センターフォワードが流れる動き
今度はナポリの得点シーンから。
この一戦で光ったのは途中出場のメルテンスの動きである。
ナポリは再三のチャンスにもかかわらず、フィニッシュでセンターバックにつかれ、気持ちよくフィニッシュできないでいた。
メルテンスは先発のミリクのように自分がフィニッシャーになるのではなく、ナポリのサイドアタッカーにボールが入った際、サイドに流れるような動きをしていた。
これにより、リヴァプールのサイドバックはナポリなサイドアタッカーについているのでリヴァプールのセンターバックはメルテンスついていかなければならない状況が生まれた。
リヴァプールのセンターバックの空いたスペースはミッドフィルダーがカバーしなければならないが後半も終わりが近くなってくると戻りきれないシーンが出てきた。
ここをうまく使ったのがナポリの得点シーンである。
センターバックの釣り出しに成功し、スペースを得たナポリはサイドアタッカーがもう一度、そのスペースを使うことによりよりゴールに近い位置でクロスを供給することに成功し(カジャホンのクロスの精度も素晴らしいことは言うまでもない)、得点に結びついた。
このようなセンターフォワードの動きはアーセナルのアタッカー陣にも見ることができる。
ラカゼットやオーバメヤンがサイドに流れ、ラムジーがペナルティーエリアの脇のスペースを使うというプレーである。
ディフェンスラインを引きつけるプレーは多くあるが今回はサイドに焦点を当ててみた。
スピードだけではどうにもならない状況に対処する方法をこれからも探っていきたいと思う。
アーセナルファンが新生アーセナルに期待すること
22年に及ぶアーセン•ヴェンゲルによる体制に終わり、ウナイ•エメリによる新体制が始まった。
アーセン•ヴェンゲルはイングランドにパスサッカーをもたらし、さらには無敗優勝という偉業を達成してみせた。
ウナイ•エメリはアーセナルに何をもたらしてくれるのだろうか?
今回は、アーセナルファンである私が新生アーセナルに期待することについてみていこうと思う。
柔軟性
アーセン•ヴェンゲルによるパスサッカーは当初、イングランドにとっては非常に驚きを持って迎えられ、無敗優勝を成し遂げたが、アーセン•ヴェンゲル体制の終盤においてはしばしば柔軟性を欠くものとして批判されるようになった。
ウナイ•エメリは、相手チームをよく研究し相手によってフォーメーションを変更する監督だ。
ポゼッションを重視するあまり、相手に引かれた際、攻撃の糸口がつかめないといったシーンが多くみられた昨今のアーセナルに新しい風を引き込むだろう。
ICCにおいてもその兆候はすでに見られ、ゲェンドゥージらの中盤の選手が大きなサイドチェンジを行うことが多くなっているように見えた。
インテンシティ
ウナイ•エメリは中盤にルーカス•トレイラ、ゲェンドゥージといった守備において大きな働きを持てる選手たちを獲得した。
ここ数年のアーセナルはボールを奪われた後の切り替えの早さも遅く、さらにどこでボールを取るかということが明確になっていなかった。
これは、コクランのような汚れ役を買って出るような選手が移籍してしまって以降、本来であればゲームをコントロールする選手であるジャカ、ウィルシャー、ラムジーといった選手を二枚中盤に並べてしまったアーセン•ヴェンゲルにも責任の一端はあると思うが、あまりにも守備に対する意識が他チームに比べて低かった。
トレイラ、ゲェンドゥージはこれらのゲームをコントロールする選手の横でボールを刈り取る働きをすることができ、さらには攻撃から守備へのスイッチ的な働きをすることもでき、アーセナル全体としてのインテンシティを高めることが期待できる。
攻撃から守備、守備から攻撃をスムーズに切り替えることができれば、より良いアーセナルを見ることができるだろう。
ロシアW杯 決勝 フランス対クロアチア
さあ、いよいよ決勝が行われる。
四年に一度のサッカーの祭典は若いフランスが勝ち取るのだろうか、はたまた黄金世代のクロアチアが勝ち取るのだろうか?
今回は決勝の注目ポイントを見ていく。
中盤の攻防
フランスはポグバ、カンテ、マチュイディ、クロアチアはモドリッチ、ラキティッチ、ブロゾビッチと経験と技術を兼ね備えた選手を擁する。
フランスはエンバッペのスピード、ジルーの高さ、グリーズマンのパス、突破から攻撃を構成していくのに対し、クロアチアはモドリッチやラキティッチが絡んで、サイドから展開していくといったサッカーを志向している。
フランスとクロアチアの志向するサッカーは異なるが、カウンターやセットプレーのみに頼らずにきちんとビルドアップしていくしていくという点においては同じである。
それゆえに中盤での攻防は非常に激しいものになるだろう。
クロアチアにおいて最も多くのチャンスクリエイトを記録し、ゴールもチームトップタイの2ゴールを記録しているモドリッチに対しては、タックル数において大会2位を記録しているカンテが対峙する。
クロアチアの攻撃はモドリッチが高い位置でボールが持てたときにやはり怖さをみせることから、カンテをはじめとする中盤の選手がどれだけモドリッチに仕事をさせないかが重要になってくるはずである。
また、フランスはポグバやマチュイディだけでなく、グリーズマンが中盤まで降りてきてビルドアップに参加するということも少なくない。クロアチアとしてはグリーズマンが降りてくることによって中盤での数的不利を作られることを防ぐことが非常に重要になってくるだろう。
いずれにしても、中盤での激しい攻防が勝負を大きく左右するだろう。
エンバッペのスピード
注目ポイントとしてエンバッペを上げると、エンバッペに注目するなんて当たり前じゃないかと思われそうだが、いま一度彼の凄さについて見ていこう。
準決勝での振る舞いにより彼へのバッシングは大きなものになっているが、この大会においてここまでで彼がやってのけたことは凄まじい。
ジルーの作り出すスペースやグリーズマンらの素晴らしいパスに助けられたとはいえ、エンバッペのここまでドリブルを仕掛けた回数はあのアザールの43回を上回る46回であり、エンバッペの仕掛ける姿勢というのには驚嘆せざるを得ない。
エンバッペのスピードとドリブルにより、対峙する相手のサイドはどうしても守備的にならざる得ないし、そのサイドをカバーするためにセンターバックや、中盤の守備的な選手らはポジショニングを変えなければならない。
この相手への戦術の強制はフランスの攻撃において大きな助けになっているだろう。
エンバッペがボールを持った際はどうしても逆サイドにスペースが生まれてくるし、エンバッペがボールを持っていなくても、彼のサイドの裏のスペースをケアするために人数を裂かなければいけない。
フランスのボールの有無にかかわらずエンバッペに注目だ。
ロシアW杯 準決勝 クロアチア対イングランド
クロアチアとイングランドが準決勝に残ると予想できた人は少ないのではないでしょうか?
サイドを支配するのは?
クロアチア、イングランドに共通するのは良いクロスを上げることができるサイドの選手を抱えていることだ。
ペリシッチはドリブルでの突破に加え精度の高いクロスを上げることができるし、マンジュキッチはクロスを上げるだけでなく、その高さを生かしてクロスに合わせることができる。
モドリッチやラキティッチからサイドへボールを供給できる点もクロアチアのサイド攻撃に厚みを与えている。
対するイングランドはトリッピアーとヤングのクロスの精度が高いのは言うまでもないことだが、ケインとアリという明確な的に向けてクロスを上げることができる。
イングランドの得点の多くはコーナーキックから生まれているがサイドの攻防を制することができればコーナーキックの回数を増やすことが出来るだろう。
また、スピードという点ではクロアチアよりイングランドの方が一枚上手だろう。
イングランドのスピードに対応するクロアチアの守備陣にも要注目である。
経験と若さ
クロアチアの黄金世代が三十歳という年代を迎えたのに対し、イングランドは若い世代で成功を収めた世代が主力になりつつある。
クロアチアがモドリッチ、ラキティッチ、マンジュキッチといったような選手の経験を生かしながら試合を進めていくのに対し、イングランドはケイン、アリ、スターリングを生かしたパワフルで予想不可能な攻撃を展開してくるだろう。
フランス対ベルギーとはまた違った展開に期待したい。
ロシアW杯 準決勝 フランス対ベルギー
スペインやドイツ、ブラジルなどの優勝候補が次々と敗退するなか、残ったW杯前の優勝候補はフランスとベルギーのみとなった。
今回はフランス対ベルギー戦の注目ポイントを見ていこうと思う。
高さ
引いて守り、カウンターを狙うようなチームが多かった今大会において、ペナルティエリアの中でクロスに合わせることができ、また、ロングボールを収め、ビルドアップを円滑にし、味方選手のスペースを作り出すことができる高さのある選手は必要不可欠であるように思う。
フランスが前線にジルーを、そして、ベルギーが前線にルカク、中盤に時節フェライニのように高さのある選手起用していたのは偶然ではないだろう。
ジルーはここまで無得点であるが、ポストプレーによるグリーズマンへの落とし、また、前線でためを作り出すことによってエンバッペのスピードを生かすことができている。
ルカクはポストプレーにより、味方にボールを落とすだけでなく、もう一度、自身が走り出し、ボールを受けることもできる。
ジルーとルカクというタイプは違えど、高さのある選手がボールをどう収めるかにこの試合の主導権がかかっているといっても過言ではない。
2つのスピード
1つ目のスピードは単純に走る速さである。
フランスは言わずもがなエムバッペ、そして、ベルギーはアザールなどである。
これらの選手はジルーやルカクのつくったスペースを使い、ドリブルから数的優位を作り出す出すことができる。
再度、書くことになるが今大会は引いて守るチームが非常に多かった。その数的優位が作り出しにくい状況の中で単純なスピードはパスなどで崩すより簡単に数的優位を作り出す出すことができる。
フランスとベルギーのどちらが主導権を握ることになってもスピードによる状況の打開には要注目である。
2つ目のスピードは攻守の切り替えのスピードである。
今大会はボールを奪ってから10秒以内に決まったゴールが最も多い大会であるようだ。
守備が整ってからでは崩しにくく、攻撃の糸口が見つけにくいほど各チームの守備はより組織的に成熟してしまった。
こういう状況の中で相手のボールを奪った直後の攻撃へのスイッチの切り替えの早さは試合を大きく左右することになるだろう。
実際、ベルギーが日本戦で勝ち越しゴールを決めたのは日本からボール奪った直後のカウンターであるし、フランスがブラジルから決定的な4点目を奪ったのも奪った直後の素早い攻撃への切り替えからであった。
フランス対ベルギー戦においてもボールを奪ったあとにゴールが生まれる可能性は高いだろう。
ロシアW杯 グループB MATCH3 MATCH4
グループBの結果と次戦の注目ポイントについて見ていく。
MATCH3 ポルトガル 3-3 スペイン
Portugal v Spain - 2018 FIFA World Cup Russia™ - MATCH 3
ロナウド様様といったところだろう。
2018年に入ってからの彼は2017年の彼とは全くの別人であり、その類まれなる得点感覚をいかんなく発揮している。
チーム全体としてもカウンターは非常に鋭く、大きな武器になるに違いない。
しかしながら、ビルドアップはうまくいっておらず、組み立てて崩すといったシーンはほとんど見られなかった。
次戦の注目ポイント
好調のロナウドには引き続き頼っていくこととなると思うが、中盤からの組み立てを修正してくるであろうので、流れからの崩しに要注目。
初戦を落としているモロッコは簡単な相手ではないが、スペイン戦のようなカウンターを中心に攻めれば、波乱は起きないはずである。
スペイン
日本以上の監督交代劇があったのにもかかわらず、ほとんどいつも通りにプレーして見せた。
イスコ、イニエスタ、シルバの中盤は流動的であり、誰が絡んでもボールを前にはこぶことができていた。中盤の構成力はやはりナンバー1であろう。
また、1トップに入ったコスタの調子もよく、一点目はほとんど一人でとったといってもよいだろう。
デ・ヘアのミスがなければ、、、
次戦の注目ポイント
初戦は引き分けいう結果になったが、あまりマイナス要素はみられないように思う。
引き続きイスコ、イニエスタ、シルバの絡んだボール回しを楽しめるはずである。
個人的には右サイドバックにナチョではなくより高い位置が取れ、スピードのあるオドリオゾラが入ると、より多彩な攻撃が見られるようになると思う。
MATCH4 モロッコ 0-1 イラン
Morocco v IR Iran - 2018 FIFA World Cup Russia™ - MATCH 4
モロッコ
押し込む時間帯も多く、試合の主導権も握れていたが、一点が遠かった。
若くスピードのハリットとハキミの左サイドとベテランのアムラバートと左足に定評のあるジアシュの右サイドは様々な攻撃パターンで相手ゴールに迫れていたが、相手のゴールキーパーが当たりすぎていた。
守備もベナティアを中心にイラクのカウンターをしのいでいただけに、オウンゴールでの失点はあまりに痛かった。
次戦の注目ポイント
ポルトガルに対してはイラク相手ほどボールを握れる時間は少ないであろう。
しかし、ポルトガルもビルドアップに関しては問題を抱えており、高い位置で奪うことができれば、チャンスは少なくないだろう。
一戦目は不発であったジアシュの左足にも要注目である。
ボールを握る時間こそ少なかったが、アズムンのスピードを生かしたカウンターは鋭さがあった。
スペイン、ポルトガルと同じ組において初戦での勝利は非常に大きいものがある。
次戦の注目ポイント
スペインの両サイドバックは高い位置をとってくるので、きちんと守ってから両サイドバックの裏のスペースを使うことができれば勝ち点を取ることができるかもしれない。
忘れてはいけないのは、彼らが現時点ではグループBのトップであるということである。
次戦
6/20 21:00 ポルトガル VS モロッコ テレビ朝日系
6/20 27:00 イラン VS スペイン 日本テレビ系
ロシアW杯 グループA MATCH1 MATCH2
ついに開幕したロシアW杯。
グループAの結果と次戦の注目ポイントについてみて行こうと思う。
MATCH1 ロシア 5-0 サウジアラビア
Russia v Saudi Arabia - 2018 FIFA World Cup Russia™ - MATCH 1
ロシア
開催国とは得てして大きな重圧に晒されるが彼らはそれをうまく跳ねのけ、エネルギーに変えて見せた。
ゴロヴィンを中心とした中盤は、前から効果的にプレスに行くことができることが証明できたし、攻撃面ではFWのスモノフとデューバの二つのオプションがあることが確認できた。
そして、なんといってもゴロヴィンである。
彼はパス、クロスをだし、また、二列目からの飛び出しにより、相手のディフェンダー陣を混乱に陥れた。
4得点に絡む活躍は十分すぎるといってよいだろう。
次戦の注目ポイント
引き続きゴロヴィンに注目していて間違いないだろう。ロシアのグループステージ突破は彼がどのように中盤でプレーするかに大きく依存することになるかもしれない。
W杯の今のところの最大の被害者となってしまった。
一点目のマークがおろそかであったのは確かだが、そこからは完全なアウェー状態となってしまった。
こうなってしまっては自分たちのペースに引き戻すのは困難である。
次戦の注目ポイント
彼らにはまだ二戦残されている。
ウルグアイは難しい相手だがアイスランドのような戦いをすれば、もしかするかもしれない。
MATCH2 エジプト 0-1 ウルグアイ
Egypt v Uruguay - 2018 FIFA World Cup Russia™ - MATCH 2
エジプト
間に合うとされていたファラオことサラーは結局出場することはできなかった。
しかしながら、得点を決められるまでは高い集中力によりブロックを形成し、守備の戻りも早かった。
時節、鋭いカウンターを繰り出せていたし、ソブヒが交代で入ったところでサラーが入れるようなコンディションであれば結果は変わっていたかもしれない。
次節の注目ポイント
強豪国に対しても守備では十分に守れることを証明した。
サラーが万全のコンディションに戻ることができればロシアに対しても十分に戦えるだろう。
スアレス、カバーニ、そして、豪華な中盤のタレントを要しながらもコーナーキックからの一点どまりであった。
カバーニやスアレスにボールがはいらなければ、決定機を作り出すことができず、肝心のスアレスが不発、カバーニはポストに嫌われていた。
セットプレイから一点とれただけでも儲けものであった。
次戦の注目ポイント
スアレスやカバーニがよいフィーリングでプレー出来れば難しい相手ではないだろう。
そのためには中盤のベンタクールやベテランのC・ロドリゲスなどがよりあったキングサードで積極的になることが必要である。
次戦
6/19 27:00 ロシア VS エジプト 日本テレビ系
6/20 24:00 ウルグアイ VS サウジアラビア NHK