徒然とサッカー観戦

アーセナルの試合を中心に海外サッカーの試合の感想を個人的視点から書いていきたいと思います。

Cl決勝 直前! モハメド・サラーはなぜ点が取れるのか?

今シーズン初め、サラーがローマから移籍してきたとき、リバプール首脳陣でさえも、サラーがここまでの活躍をするとは思わなかったでしょう。

今シーズン、プレミアリーグの最優秀選手賞を受賞に加え、プレミアリーグのシーズン得点記録を32に更新し、まさしくサッカー界のファラオとなったサラーはなぜここまで点が取れるのでしょうか?

Cl決勝を前にサラーが得点をとれる理由2つの観点からを見ていきたいと思います。

 

ポジショニング

 

今シーズンのサラーが得点シーンで最も多かったのは裏へ抜けだしでした。

サラーにスピードがあることは言うまでもないことですが、ここでは走り出す直前のポジショニングに注目していきます。

サラーは多くの場合、スペースが多くあるサイドに開いて走りだすのではなく、相手のサイドバックセンターバックの間から走りだしています。

こうすることで相手ディフェンダーは確実に一回の視線変更を強いられることになります。

つまり、サラーが主戦場とする右サイドを例にとってみると、相手サイドバックはサラーが走り出す前は右にサラーが見えていますが、サラーが裏へ抜けると左にサラーを見なければいけません。相手センターバックにも同じように左から右への視点変更が強いられています。

相手ディフェンダー陣は視点変更するために体を反転させるため、サラーは相手ディフェンダー陣よりワンテンポ早くボールに追いつくことができています。

確かに単純にサラーの足が速く、裏へ抜けれているシーンもありますが、サラーがいとも簡単に裏へ抜けているように見えるのはポジショニングの良さに起因しているのではないかと思っています。

加えて、サラーが逆サイドからのクロスに合わせてゴールをとったシーンが2,3ありましたが、この際はいずれも相手サイドバックの奥からボールに合わせにいっています。

これらのシーンからもわかる通り、サラーはかなり意識的に相手の視界から消えるような動きをしているように思います。

 

ゴール前でのスペースを見つける能力

 


【Super Star】モハメド・サラー 2017-18 全ゴール 【Mohamed Salah 】

 

上のサラーの得点シーンを集めた動画を見て頂ければよく分かると思いますが、スーパーゴールを除き、サラーはインサイドでゴールに流し込むようなシュートを多く打っています。

多くの選手は、キーパーと一対一、またはペナルティーエリアの中でのシュートを打つ際は、インフロントやインステップを使い、強いシュートを打つことの方が多いように思います。

しかしながら、サラーはインサイドでゴールの端にパスするようなコンパクトなシュートが多く、シュートを打った後も体の位置がぶれないようなシュートが多いです。

このようなプレーを実現させているのは他の多くの選手にはないゴール前でのスペースを正確把握する力にあると思っています。

ワトフォード戦にてゴール前での切り替えしから奪った2ゴールに代表されるように、サラーはゴール前で多くの選手が密集しているのにもかかわらず、正確にボールをコントールしゴールに流し込んでいます。

多くのゴールを奪っていることも自信になり、ゴール前で冷静にボールを処理できるのでしょう。

 

余談 サイドへの開き

 

サラー以外の選手が得点をとっているシーンでもサラーの動きが活きているシーンがあったので少しだけ書きたいと思います。

リバプールの右サイドバック、アーノルドやゴメスがボールを持った際サラーがあえてサイドに開いているようなシーンが見られました。

相手サイドバックはキーマンであるサラーには必要以上についていくことが多く、相手のサイドバックセンターバックの間にスペースが生まれてしまいます。

ここにとびこんでいくのがフェルミーノです。もし、フェルミーノとクロスのタイミングが合わなくともフェルミーノが中央のスペースにマネや中盤の選手が飛び込んでゆくというような攻撃が見られました。

得点を量産することで、ボールを持っていないときでも相手ディフェンスラインを動かしてしまうサラーすごいです!

 

 

 

 

 

 

国際親善試合2018 日本対マリ 仮想セネガル戦で得たもの

W杯に向けた強化試合の一つである日本対マリの試合が行われました。

日本代表はこの試合から何を得たのでしょうか?

今回はこの試合から見えたポジティブな面に注目していきたいと思います。

 

ポストプレー

 

おそらくセネガルは中盤の選手、特にゲイェやクヤテなどを代表とするような対人に強い選手を置いて来るでしょう。

マリ戦においても見られたように球際の強さでは、やはりマリの選手に分があり、W杯本大会セネガル戦においてもそれは変わらないでしょう。

中盤の狭いスペースでボールを回しながら組み立てをしていくといったプレーは非常に困難を極めると思います。

マリ戦では中盤で回すのが困難であると分かると大迫をターゲットとしたボールが何本か入れられていました。

これはよく機能していた攻撃の一つであったと思います。

たとえ大迫が収めることができなくても、相手のディフェンダーは自分のゴールに背を向けて走らなければならないため確実な処理をすることは難しく、高い位置でセカンドボールを拾うことができる機会が増えるはずです。

高い位置でセカンドボールを拾うことができればそこから裏へ抜ける動きや全体の押し上げを待つといったことができるようになります。

余談になりますがこういった点から見れば今回の大迫先発も頷けますし、ボールを収めることができる本田の招集にも納得ができます。

何はともあれ、中盤での組み立てが難しい相手に対してできる戦術の一つを見ることができたと思っています。

 

斜めの走り

 

これは先程の書いたこととも関係することですが、やはり単純な身体能力の差というのはマリにしろセネガルにしろあちらに分があります。

単純に同じ位置からよーいドンで走り始めても勝つことは難しいでしょう。

今回のマリ戦においても縦にドリブル、あるいはパスを受けて相手の深い位置でクロスを上げるといったシーンはほとんどありませんでした。

そういった中でチャンスとなったシーンは大迫の落としから宇佐美が抜けたシーンに代表するような斜めに走る動きでした。

この動きは相手のディフェンダーにとっては対応が難しいものであり、相手の最終ラインの位置、あるいはマークの受け渡しを混乱させます。

実際、この宇佐美のシーンではサイドバックが宇佐美についていったため、左サイドのスペースが空くと同時に相手の最終ラインは下がっていました。

このようなシーンを多く作る作ることができれば単純に斜めに走った選手を使うだけでなく、空いたスペースに走り込んだ選手を使うような余裕も生まれてくるはずです。

 

中島翔哉

 

この選手はあまりプレーを見たこともなかったのもありますが僕にとって非常にサプライズでした。

彼は縦に仕掛けることもできるし、空いたスペースに走ることもできます。

縦に仕掛けるといったプレーはチャンスのシーンを除き、日本の選手があまりやらないことです。

この中島のプレー(中島が縦に早いというのもあるが)は、中盤が狭いチームに対してスペースを作り出すといった役割を持つことができますし、相手の選手が縦のケアをしているため、中に入ってボールを受けるといったこともできます。

ゴールにはなりませんでしたが中島がフリーでシュートを打ったシーンなどは相手の選手は縦に走ることを警戒し中島から少し距離をとっています。

本大会のメンバーに選ばれれば何かしてくれる選手ではないかと期待しています。

 

最後に

 

正直、得点が欲しいなら岡崎とかボール持つのが上手い乾呼んでほしかったです。

あと守備もこのままだとマネとケイタにぶち抜かれる未来しか見えない。

 

 

 

 

 

 

プレミアリーグ トットナム対アーセナルを3つのポイントから見る

トットナム勝利に幕を閉じた今シーズン2回目のノースロンドンダービー

勝敗を分けたのは一体なんだったのでしょうか?

今回は3つのポイントからこの一戦を振り返っていきたいと思います。

 

1     運動量

 

この一戦を語る上でまず上がってくるのが運動量の違いでしょう。

引いて守りゲームに入っていくアーセナルに対し、前線から積極的にプレスをかけていくトットナム

前半はオーバメヤンを使ったカウンターを恐れてトットナムサイドバックの選手たちはそこまでプレスにいけていませんでした。

しかしながら、後半はアーセナルがボールをうまく保持できていないと分かるとサイドバックの選手もかなり高い位置にまでプレスにきて、サイドハーフの選手と挟み込むというようなシーンが多々ありました。

これに対しアーセナルは特にムヒタリアンエジルの守備の際の位置どりなどが不明確なのに加え、サイドバックトットナムサイドハーフに引っ張られ、トットナムサイドバックにプレスにいけない状況が一戦を通して続きました。

結果的にサイドバックの空いたポジションに入ったエリクセンからのクラスにケインが合わせて決勝点となりました。

守備の戦術が違うことが重々承知していますが、今回の一戦においてトットナムは前線からのプレスによりアーセナルのスペースを消し、アーセナルサイドバックの前のスペースをうまく埋めることができなかったということになります。

これは明らかに運動量の違いが生み出した結果であり、実際両チーム通じて一番走っていたのはエリクソンでした。

 

2    プレーメーカーの動き

 

アーセナルプレーメーカーエジルで、トットナムプレーメーカーエリクソンであることは書く必要もないことですが、この二人の動きにも大きな違いがありまた。

エリクソンがボールをディフェンスラインから引き出すためにポジションを下げてくるような動きをしたのに対し、エジルは試合の最後の方までこのような動きをすることはほとんどありませんでした。

ゲームを組み立てる上でこのようにボールを散らすことができる選手が中盤にいるかいないかでは大きく異なってきます。

トットナムエリクソンが中盤まで下がりボールをもつことによってチーム全体のラインが上がります。また、エリクソンにマークが集まることでフリーな選手が一人はできるといったシーンが後半は特に見受けられました。これは、先に書いたエリクソンの運動量がなす技でもありますが、、、

これに対しアーセナルエジル、またはムヒタリアンはボールに絡むシーンがあまりありませんでした。

これにより、アーセナルは効果的に前にボールを運ぶことができませんでした。サイドバックの選手もボールの受け手を探し探しプレーをしているように見えました。オーバメヤンにボールが入ることも数えるほどしかなかったと思います。

後半の終盤になり、エジルが下がってくると、ウェルベックが抜けたシーンやラカゼットの決定機など中盤でボールが回り始めました。

時すでに遅しと行った感じでしたが、、、

 

3    個々の選手の役割

 

これは非常に大きなポイントであると思っています。

トットナムの選手は非常にやるべきことが明確化されていたように思います。

ソンは縦に仕掛けて脅威になるといった役割を持っていましたし、ケインは前線でクロスに確実に合わせていくようなポジション取りとボールが来ない際は流れて起点になる。エリクソンは先に書いたように中盤と前線を繋ぐ役割。中盤の底二枚は無理に上がっていくようなことはせず中盤を安定化させていました。

アーセナルムヒタリアンエジルはふらふらとしたポジション取りをし、守備にも攻撃にも効果的ではありませんでした。ジャカとウィルシャーもエルネニーとの関係性がはっきりしていませんでした。特にエルネニーは守備的な役割を期待されているのに相手を潰すようなシーンはなかったと思います。

唯一ウィルシャーは、ボールを持った際は、前に運んでラストパスまで繋げていましたが、、、

このようなところからトットナムアーセナルの選手に判断の速さの差が生まれたようにも思えます。

 

まとめというか感想

 

なんというか非常に差が出た一戦でしたね。

オーバメヤンムヒタリアンが、まだ完全に溶け込めてないとはいえ、あまりにも守備の際の意識や運動量に差があったように思います。

前回は3バック同士で今回は4バック同士の対戦で見ている方は面白かったですが笑

 

来シーズンの対戦も楽しみです。

 

 

 

 

 

プレミアリーグ移籍 ロンドン勢が新加入FWに期待していること

多くの大型移籍が実現した2018年の冬の移籍市場最終日。

ロンドンの3チームであるアーセナルチェルシートットナムはそれぞれFWを獲得しました。

各チームはこの補強に何を期待したのでしょうか?

今回は各チームごとにFW獲得によるメリット、デメリットを見ていきたいと思います。

アーセナル

 

獲得FW オーバメヤン

 

メリット 新たな得点源

 

今のアーセナルにおいて新たな得点のパターンが必要であることは火を見るよりも明らかです。

ウィルシャーがトップフォームを取り戻しつつあるとはいえ、エジルがボールに絡まなければ、アーセナルの攻撃のスイッチは入りません。

オーバメヤンエジルがいなければ停滞してしまう前線の攻撃に活力を与えるでしょう。

オーバメヤンは単純に早く、得点が取れる選手です。確かにアーセナルの美しいパスワークからの得点を奪うシーンばかりではなくなるかもしれません。

しかしながら、オーバメヤンはそのスピードによって相手ディフェンダー陣の脅威になるでしょうし、新しく獲得されたムヒタリアンの存在もこれを助けるでしょう。

 

デメリット FWの多さ

 

アーセナルには、サンチェス、ジルーらが移籍したとはいえ多くのFWがいます。

もし、オーバメヤンが中央でプレーしたとして、ラカゼットはサイドでのプレーを受け入れるでしょうか?最近の試合でも組み立てに参加するような状況があり、ラカゼットのフラストレーションさらにたまることも予想されます。

ウェルベックもどちらかと言えば、中央でプレーしたいでしょう。

プレー面ではなく選手の状態に関するデメリットとなってしまいましたが、起用法に対する不満が選手のモチベーションに与える影響は無視することができません。

 

チェルシー

 

獲得FW ジルー

 

メリット ポストプレーによるほかの選手の生かし

 

ジルーは最近のチェルシーのFWとはタイプの違うFWです。

ジルーはポストになり、アザールやウィリアンらの前にスペースを作り、彼らのスピードを存分に生かすことができるでしょう。

また、その高い身長を生かし、マルコス・アロンソのような高い精度を持ったクロスに合わせることができます。これはチェルシーと対戦することになるチームに新たな脅威になるでしょうし、対策をより難しくさせるでしょう。

現時点ではモラタの方が先発で出る機会が多いでしょうが、ジルーのような実績のあるFWのおかげでモラタは休憩をもらう試合が増えることも予想されます。

 

デメリット スピードダウン

 

今のチェルシーの攻撃にとって一つの武器となっているのはカウンターでしょう。

スピードとテクニックのあるモラタ、アザールはこの攻撃において非常によく機能しています。

しかしながら、ジルーにはあまりスピードがありません。

もし、チェルシーが今のままの戦術をジルーに強要しようとすればあまりうまくはいかないでしょう。

 

トットナム

 

獲得FW ルーカス・モウラ

 

メリット 前線の競争力

 

トットナムの途中交代選手があまり得点をとれていないという事実はあまり知られていないかもしれません。

そうでなくとも最近のデル・アリの不調を目の前にして、昨シーズンはPSGでしっかりと仕事をしていたルーカス・モウラの獲得は良いものになるでしょう。

絶対的であったケイン、アリ、エリクセンに割って入るだけの実力を持ち、かつこの三人にはないスピードのある選手の加入はエリクソンやウィンクスらのパスセンスを存分に引き出すでしょうし、多くのマークがつきやすいケインの負荷軽減にもつながるでしょう。

また、絶対的であった三人に割って入ることによりこの三人のうち誰かが途中出場になれば途中出場選手の問題もよくすることができるでしょう。

 

デメリット シンフォニーの崩壊

 

絶対的であった三人に割って入るということはこれまでの関係を崩してしまいます。

デル・アリ不調でもこの三人には何かをやってくるるという期待感があり、ルーカス・モウラにかかる期待というのは大きなものになるでしょう。

ルーカス・モウラプレミアリーグに早く適応できればこれは起きないでしょうが、もしできなければ、、、

 

 

 

3バックの流行は本当にチェルシーが作ったのか? 守備編

グーナーである私が昨シーズン最も驚いたのはCLに出れなかったことではなく、シーズン途中から3バックを採用したことと言っても過言ではないでしょう。(過言です)

何シーズンにも渡り4バックでのポゼッションサッカーを志向してきたアーセナルにとって3バック採用はファンの目におかしく映ったのではないでしょうか?

今回は守備面からなぜ欧州主要リーグ、とくにプレミアリーグで3バックの採用が好まれるようになったか考えていきたいと思います。

 

フォワードの変化

 

多くのチームが3バックを採用するようになった要因の一つとしてフォワードの変化が挙げられるのではないでしょうか?

ゼロトップが流行ったのは少し前になりますがこのころから純粋なフォワード(トリノのベロッティのような)が少なくなり、組み立てに積極的に参加するフォワードが増えてきました。

今シーズンもシティのジェズス(シティは4バックですが)のように組み立てにある程度参加し、かつ相手を背負うことができる選手が重要視されているように思います。(現にアグエロを抑えて先発することもある。)

これまでも相手を背負うことができる選手はいましたがポストプレーが主な目的で中盤に降りてきてまで組み立てに参加するというのは少なかったのではないでしょうか?

ジェズスやケイン、さらにはユベントスでポゼッションを一つ下げたディバラ、フランス代表におけるグリーズマンのように組み立てに参加するような選手が増えたことはセンターバックと中盤の選手の意思疎通を難しくしたと思います。

フォワードが組み立てに参加することによってセンターバックがつり出されそこの空いたスペースを逆に相手の中盤の選手こ飛び出しに利用されるような攻撃は非常に対応が難しく、中盤の選手がカバーに入ることはチーム全体のラインを下げることにもつながります。

これに対応することができるのが3バックの特徴ではないかと思っています。私は当初、チェルシーで3バックが機能しているのはカンテの細やかなカバーリングのおかげだと思っていましたが、アーセナルトットナムの対戦を見て少し意見が変わってきました。

一人のセンターバックがつり出されたとしても残り2枚で対応することができる。言葉を変えればセンターバックの対応が明確になるというのが3バックの大きな特徴ではないかと思っています。

実際、アーセナルラムジーやジャカ、トットナムのウィンクスのようにどちらかといえば高い位置をとる、ゲームメイカーや攻撃的な選手が3バックの前にポジションを置いているのはこのようにセンターバックの選手がある程度、相手の中盤の飛び出しに対して対応するようになっているからなのではないかと思っています。

 

ボールをとる位置の明確化

 

センターバックの守備への対応の明確化によりボールのとるところも明確化されました。

どの位置で取るかというのはチームによって異なりますがセンターバックと中盤、マークの受け渡しが少なくなったことにより中盤の守備面の負担が少なくなったとように映ります。

また、ゴール前のスペースも少なくなり、崩すことのできない相手チームはボールを放り込むという攻撃に限定させることもできるというのもメリットのひとつであると思います。

ノースロンドンダービーではこれがうまくはまり、まさにケインに仕事をさせるといったシーンは多く見られませんでした。

ここまで3バックの守備面での良いところばかり書いてきましたが悪い点というか難しい点もあります。

この守備の難しさはセンターバックと中盤のバランスにあると思っています。先程も書いたように3バックの前にはラムジーやウィンクス、チェルシーではファブレガスのように高い位置を取りがちな選手が起用されます。これによりセンターバックと中盤の間に大きなスペースが空いてしまい、そこを使われてしまうといったこと(シーズン開幕直後のアーセナルなど)は十分起こり得ます。トットナムはシソコとデンベレのような守備寄りの選手を起用することもありますが、それはここのスペースを懸念しているのではないかと勝手に思っています。チェルシーはカンテがいるのでなんとかなりますが、、、

もう一つの難しい点はウイングバックの裏のスペースでしょうか?

3バックにウイングはサイドバックの時と比べ、当たり前ですが高い位置をとります。試合開始直後などはいいですが、試合の終盤に戻りきれなかったりや相手のカウンターの際などやはりウイングバックのスペースというのは空いてしまいます。この時にセンターバックの間でコミュニケーションが取れていないとあっさり裏を取られてしまうというのはよくあることです。

 

今回は守備面から3バックの流行について書いて見ました。

フォワードの役割の変化によりボールの取りどころがなくなった、また、守備への対応が難しかなったというのがやはり大きな要因であると思います。

 

次回は攻撃面からなぜ3バック採用されるようになったがを見ていきたいと思います。

 

3バックの流行は本当にチェルシーが作ったのか?

今シーズンの欧州主要リーグ、とくにプレミアリーグにおけるトレンドの一つとして3バックが挙げられるのはもう言うまでもないことだと思います。

優勝チームが採用していたフォーメーションが次のシーズンに多くのチームで採用されることは多くあることです。

しかしながら、プレミアリーグのチームが好んで3バックを採用するのはのは本当に昨シーズンの優勝であるチェルシーが3バックを採用していたからでしょうか?

今シーズンのこれまで対戦をもとに、なぜ3バック採用のチームが増えたのかを守備面と攻撃面の二回に分けて個人的考察を行なっていきたいと思います。

 

ほとんどアーセナルの対戦を見た感想になると思います笑

 

 

ロシアW杯欧州予選プレーオフ イタリア対スウェーデン イタリアに革命は起きるのか?

機能した2トップと機能しなかった2トップ(1stレグ)

 

イタリアはスペイン戦(ロシアW杯グループ最終戦)から何も学ばなかったのだろうか?

イタリア対スウェーデンプレーオフ1stレグではそんな声が聞こえてきてもおかしくないようなイタリアの2トップの働きでした。

 

大きく差が出た前半

 

イタリアの1stレグの2トップはスペイン戦と同じくインモービレとベロッティでした。イタリアのフォーメーションは3バックとアウェイでの試合序盤はしっかり守備を固めいくというベントゥーラ監督の意思を感じました。

しかしながらイタリアの守備はどうだったでしょうか?

スペイン戦に比べれば確かに2トップは守備に参加していたのかもしれませんが積極的に前からボールを追っていきパスコースを限定していったスウェーデンの2トップとはまず守備の面において大きな差が出ることとなりました。

スウェーデンの2トップが前から守備をすることでイタリアのセンターバック陣はあまり余裕をもってボールを持つことができませんでした。これによってイタリアのサイドの選手が高い位置ではボールを受けることができませんでした。実際、前半イタリアの右サイドではほとんどボールを持つことができず、逆にフォルスベリがボールを持つ時間が長くなりカンドレーバがさらに高い位置をとれなくなっていました。

対してスウェーデンディフェンダー陣及びボランチ二人は比較的余裕をもってボールを持つことができました。フォルスベリは自由に中に入ったり出たりすることができましたし、スウェーデンの2トップへの縦パスはより正確なものが入ることとなりました。

この縦パスに対してもスウェーデンの2トップは必ずどちらかが体を張り、中に入ってきたフォルスベリに落としたり、また落としたボールをサイドの縦に早いクラーソンにパスを出したりと攻撃の起点となっていました。この2トップのポストプレーは前半、イタリアのディフェンダー陣を相当苦しめ、フォルスベリがフリーでシュートを打つシーンやペナルティーエリアの中で倒されるシーンなど決定的ともいえるシーンを作りだしました。

イタリアの2トップはスペイン戦同様ロングボールに対し裏へ抜けるプレーはありましたが、組み立てには一切関与しませんでした。

 

攻撃への意識が変わったイタリアと真価を発揮したスウェーデンの守備

 

後半、先手を取ったのはイタリアでした。前半は沈黙していたカンドレーバが開始早々に惜しいクロスとショートコーナーからのシュートを放ちました。これは後半のイタリアに非常にいい効果をもたらしたと思います。

前半、イタリアの左サイド、ダルミアンのサイドからは数本クロスが上がっていました。これに加えて、カンドレーバが高い位置をとることによりスウェーデンのサイドの選手が引っ張られます。2トップは後半も前線で動かないので(後半最初にポストプレーが1本ありましたが)スウェーデンセンターバックサイドバックの間にスペースが生まれます。このスペースをパローロやベラレッティが使うことで前半、攻撃への糸口がなかったイタリアは少し活気が戻りました。

しかしながら、ここでも一枚上手をいったのはスウェーデンでした。スウェーデンの2ボランチがイタリアの中盤につくことでセンターバックはこの二列目からの飛び出しに引っ張られることはなく、守備の陣形を大きく崩すことなくうまく攻撃を跳ね返すことができていました。この2ボランチの守備は2ndレグにおいても一番といっていいほど素晴らしい効果を与えたと思っています。特にラーションカバーリングは何回か決定機をつぶしたと思います。

 

先制点と不可解な交代

 

先制点はスウェーデンでした。エンクルと負傷交代で入ったヨハンソンのファーストタッチがゴールとなりました。

スローインから2トップのトイボネンが頭で落としてヨハンソンが叩いたボールがディフレクションしてゴールに入りました。

このシーンではまず、スウェーデンの2トップにボールが入り、対応しきれなかったことによりスペースが生まれ、最後は自陣に戻ってきても効果的なポジションどりができていなかったベロッティの反応が遅れたことによりフリーでシュートを打たすといった結果になりました。まあ、中盤の選手のポジションどりもよくなかったですが、私はこのシーンに1stレグのすべてが込められているように思えてなりません。

そして、不可解であったのはベラレッティの交代です。ベラレッティはイエローカードを受けたことにより2ndレグは出れないことが確定してしまいました。そこに変わりで入ったのはインシーニェでした。

これには私も頭を抱えましたね、、、

いや、たしかに中でプレーするのうまいけども本来のポジションじゃない選手を一番大事な試合で試すとかマジでチャレンジャーすぎませんかね笑

試合後のインタビューでは

「ベラレッティの代わりをやってくれと言われた」

的なこと言ってましたからね。

しかも、2ndレグで使わないという。

訳が分からないよ!

 

意地のぶつかり合い(2ndレグ)

 

イタリアは2ndレグも3バックでした。しかも、公式戦初出場のジョルジーニョとけが明けのフロレンツィを先発でした。なんでグループの時は4バック使ってたのに点を取らなきゃいけない試合で3バックから入ったのか入ったのわかりませんが、、、

しかし、2ndレグは打って変わってイタリアの10分過ぎからイタリアの猛攻が続きました。

ジョルジーニョとガッビアディーニが非常に良かったですね。

ガッビアディーニはベロッティと違い組み立てに参加しに落ちてくるので、中盤の枚数的には優位に立つことができました。

また、ジョルジーニョはバランサーのデロッシと違い縦のパスを狙うことができます。

この二枚が入ることで中盤で優位に立つことができ、裏へ抜けるインモービレに対応していたスウェーデンの中盤二枚がインモービレについていけなくなりました。これによりインモービレが走りやすくなり、そこにジョルジーニョのパスも相まって、怖い攻撃ができていたと思います。

結果的にイタリアは25本シュート打てていますので先発メンバー見たときとは疑問は覚えましたがうまいことはまってましたね。

後半途中からはイタリアのセンターバック二枚もペナルティーエリアのすぐ外でボール回しに参加し、スウェーデンは全員が陣内に入るという熱い展開でした。コーナーではブッフォンが上がってきたりと最後まで得点は予感させましたが、、、

 

新たな皇帝

 

長い間、守備をしていたスウェーデンの中で光っていたのがフォルスベリでした。

ボールポゼッション25%という試合でボールを持った時に時間を作れたのはフォルスベリだけだったのではないでしょうか?

スウェーデンの2トップも2ndレグは守備ばかりで疲れてあまりボール収めることができていませんでしたし、数少ないカウンターの機会を作ったのも、フォルスベリのドリブルからでした。

守備において、ラーションが非常にいい働きをしたのは上述した通りで称賛に価するとは思いますが、イブラヒモビッチが代表引退した今、新たな皇帝はフォルスベリといってよいのではないでしょうか?

 

イタリアに革命は起きるのか?

 

残念ながらイタリアは60年ぶりにW杯に出ることはできませんでした。

1958年のスウェーデン大会以来というのが皮肉だなと思います。

今回の敗退を受けて、ブッフォンキエッリーニバルザーリデロッシは代表引退を表明。

辞任を拒否していたベントゥーラ監督は解任され、イタリアのサッカー連盟の会長であるダベッキオさんも辞任を表明しました。

去年、トッティは引退し、先日、ピルロも引退を表明しました。

長年、イタリアサッカー界を支えてきた選手の引退と首脳陣の辞任、解任によってイタリアサッカー界はいま過渡期を迎えているようです。

しかし、幸運なことにイタリアにはドンナルンマをはじめ、若くいい選手が多くいます。

2020年のユーロでの復活を願います。

 

最後に、スウェーデンおめでとう!