3バックの流行は本当にチェルシーが作ったのか? 守備編
グーナーである私が昨シーズン最も驚いたのはCLに出れなかったことではなく、シーズン途中から3バックを採用したことと言っても過言ではないでしょう。(過言です)
何シーズンにも渡り4バックでのポゼッションサッカーを志向してきたアーセナルにとって3バック採用はファンの目におかしく映ったのではないでしょうか?
今回は守備面からなぜ欧州主要リーグ、とくにプレミアリーグで3バックの採用が好まれるようになったか考えていきたいと思います。
フォワードの変化
多くのチームが3バックを採用するようになった要因の一つとしてフォワードの変化が挙げられるのではないでしょうか?
ゼロトップが流行ったのは少し前になりますがこのころから純粋なフォワード(トリノのベロッティのような)が少なくなり、組み立てに積極的に参加するフォワードが増えてきました。
今シーズンもシティのジェズス(シティは4バックですが)のように組み立てにある程度参加し、かつ相手を背負うことができる選手が重要視されているように思います。(現にアグエロを抑えて先発することもある。)
これまでも相手を背負うことができる選手はいましたがポストプレーが主な目的で中盤に降りてきてまで組み立てに参加するというのは少なかったのではないでしょうか?
ジェズスやケイン、さらにはユベントスでポゼッションを一つ下げたディバラ、フランス代表におけるグリーズマンのように組み立てに参加するような選手が増えたことはセンターバックと中盤の選手の意思疎通を難しくしたと思います。
フォワードが組み立てに参加することによってセンターバックがつり出されそこの空いたスペースを逆に相手の中盤の選手こ飛び出しに利用されるような攻撃は非常に対応が難しく、中盤の選手がカバーに入ることはチーム全体のラインを下げることにもつながります。
これに対応することができるのが3バックの特徴ではないかと思っています。私は当初、チェルシーで3バックが機能しているのはカンテの細やかなカバーリングのおかげだと思っていましたが、アーセナルやトットナムの対戦を見て少し意見が変わってきました。
一人のセンターバックがつり出されたとしても残り2枚で対応することができる。言葉を変えればセンターバックの対応が明確になるというのが3バックの大きな特徴ではないかと思っています。
実際、アーセナルのラムジーやジャカ、トットナムのウィンクスのようにどちらかといえば高い位置をとる、ゲームメイカーや攻撃的な選手が3バックの前にポジションを置いているのはこのようにセンターバックの選手がある程度、相手の中盤の飛び出しに対して対応するようになっているからなのではないかと思っています。
ボールをとる位置の明確化
センターバックの守備への対応の明確化によりボールのとるところも明確化されました。
どの位置で取るかというのはチームによって異なりますがセンターバックと中盤、マークの受け渡しが少なくなったことにより中盤の守備面の負担が少なくなったとように映ります。
また、ゴール前のスペースも少なくなり、崩すことのできない相手チームはボールを放り込むという攻撃に限定させることもできるというのもメリットのひとつであると思います。
ノースロンドンダービーではこれがうまくはまり、まさにケインに仕事をさせるといったシーンは多く見られませんでした。
ここまで3バックの守備面での良いところばかり書いてきましたが悪い点というか難しい点もあります。
この守備の難しさはセンターバックと中盤のバランスにあると思っています。先程も書いたように3バックの前にはラムジーやウィンクス、チェルシーではファブレガスのように高い位置を取りがちな選手が起用されます。これによりセンターバックと中盤の間に大きなスペースが空いてしまい、そこを使われてしまうといったこと(シーズン開幕直後のアーセナルなど)は十分起こり得ます。トットナムはシソコとデンベレのような守備寄りの選手を起用することもありますが、それはここのスペースを懸念しているのではないかと勝手に思っています。チェルシーはカンテがいるのでなんとかなりますが、、、
もう一つの難しい点はウイングバックの裏のスペースでしょうか?
3バックにウイングはサイドバックの時と比べ、当たり前ですが高い位置をとります。試合開始直後などはいいですが、試合の終盤に戻りきれなかったりや相手のカウンターの際などやはりウイングバックのスペースというのは空いてしまいます。この時にセンターバックの間でコミュニケーションが取れていないとあっさり裏を取られてしまうというのはよくあることです。
今回は守備面から3バックの流行について書いて見ました。
フォワードの役割の変化によりボールの取りどころがなくなった、また、守備への対応が難しかなったというのがやはり大きな要因であると思います。
次回は攻撃面からなぜ3バック採用されるようになったがを見ていきたいと思います。